■エース北川が後半に2ゴール!

 エンドが変わっても、試合の構図は大きく変わらない。愛媛の連動したプレスを受ける清水は、ショートカウンターから際どいシーンを作られる。GK権田修一の好セーブで失点を許さないと、58分に愛媛のゴールをこじ開ける。

 中盤の左サイドへ落ちた乾が、サイドチェンジで相手の目線をズラす。右サイドの松崎は内側へ短く持ち出して左足の鋭いクロスを入れると、北川のピンポイントヘッドがゴールネットを揺らした。「ドンピシャのボールだったので、自分は当てるだけでした」とは試合後の北川だが、今シーズンからキャプテンを務める背番号23が価値ある先制弾をもたらした。

 リードを奪ったことで、清水の試合運びにやや余裕が生まれる。しかし、選手交代でスイッチを入れ直した愛媛に押し込まれ、前半と同じような試合展開となる。77分にはペナルティエリア内から決定的なシュートを2本連続で浴びるが、GK権田のセーブでリードを保つ。

 スリリングな攻防が繰り広げれていくなかで、88分に清水が勝利を決定づける。

 左SB山原が途中出場の左MF西原源樹との連携で愛媛のプレスを剥がすと、そのままドリブルで持ち出して乾へつなぐ。乾は左サイドから少しずつ内側へボールを運び、GKとDFラインの間へ右足アウトサイドでスルーパスを通す。GKから微妙に逃げていくボールの軌道の先には、北川が走り込んでいた。ゴール裏を埋め尽くすサポーターの目の前で、決定的な2点目が生まれる。2対0で押し切った清水が、開幕2連勝を飾った。

 試合後のフラッシュインタビューに応じた北川は、「去年はラスト勝点1、1ゴール、ラストワンプレーで、自分たちは悔しい思いをしました。その悔しさをピッチでぶつけるだけです」と話した。

 パスワークで前進していく自分たちのやりたいサッカーは、限られた時間しか表現できなかった。開幕節、今節と爆発的な攻撃力を見せることはできていないが、それでも勝点3を逃さないところに今シーズンの清水の強さがある。

 獲得が発表されている新外国人ドウグラス・タンキは、5日に来日して7日からチームに合流することが決まった。メディカルチェック後の正式契約となるが、188センチのブラジル人FWがリスト入りすれば、攻撃の破壊力はさらに高まるだろう。

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