■小泉佳穂が感じていたこととは
特に感じたのは小泉の左側だ。例えば右寄りでセンターバックのアレクサンダー・ショルツがボールを持った時に、ヴェルディの2トップと中盤がボールサイドにスライドする一方で、反対側の右サイドバックの山越康平が対面する松尾佑介をチェックするために、センターバックの林尚輝との間隔が開く現象が生まれていたのだ。
しかし、実際はそうしたスペースを小泉が利用して抜け出すシーンがあまり見られなかった。オフ明けの練習場で、その疑問を小泉に投げかけてみると「あったんですけど……やっぱり(ショルツが)蹴れる状態でボールを持っててないのが。運んでいる途中だとランニングしてもボールが出てこないから難しいよなみたいなシーンがあって」と返ってきた。
俯瞰的に見れば、そこが空いていると分かっても、実際にピッチに立っている選手というのは対戦相手のプレッシャーだったり、仲間とのイメージ共有だったり、技術や特長との兼ね合いだったりと、多様な要素が絡む中で瞬間、瞬間の選択を迫られている。