■FWの軸になるのは新外国人エロンか

 システムを4-4-2にすると、ダブルボランチの候補は5人になる。今シーズンから背番号10を着ける鎌田大夢、昨シーズン途中加入の長澤和輝、経験豊富なレフティー松下佳貴富田晋伍さんの背番号17を継承した2年目の工藤蒼生、新加入の工藤真人である。昨シーズンまでの実績から判断すると、鎌田と長澤のコンビになるだろうか。

 2列目右サイドは、郷家友太だろう。昨シーズンチームトップの10ゴールをあげた24歳には、今シーズンも多くの得点とアシストが期待される。

 左サイドは相良竜之介と名願斗哉の争いか。どちらもドリブルで局面を打開できるタイプだが、23年の期限付き移籍から完全移籍へ移行した相良が、先にチャンスをつかみそうだ。右サイドが本職の快速・オナイウ情滋が、左サイドでプレーするオプションもある。

 前線はセカンドトップ気味に立つ中島元彦のパートナーを、誰が務めるのかがポイントになる。ブラジル生まれの新外国人FWエロンか、プロ2年目の菅原龍之助か、あるいはJ2通算57ゴールの中山仁斗か。

 菅原と中山は180センチ以上のサイズを持つが、エロンは176センチだ。誰をチョイスするのかで攻め筋が変わるだけに、パスの出し手となるMFも含めた選手の組合せが注目される。

 誰がFWの軸になるとしても、確固たる得点源の登場は不可欠だ。対戦相手に警戒されるFWがいることで、昨シーズン6得点の中島や郷家らの決定力も生かされる。

 加入3シーズン目でキャプテンを務める遠藤康は、攻撃のジョーカーとしての役割か。35歳が備えるクオリティを、どのように勝利へ結びつけていくのか。ここでも森山監督の手腕が問われる。

補強充実度:B
経験豊富な選手や中堅選手が多くチームを離れたが、GKは4人による競争で、フィールドプレーヤーは各ポジションに2人以上の候補者がいる。新外国人のモラエスとエロンがレギュラーに定着すれば、センターラインに芯が通る。

昇格可能性:B
クラブとしてのポテンシャルや実績は、間違いなくJ1昇格候補である。ただ、そうしたものがさほど意味を持たないのが、近年のJ2でもある。シーズン前半は辛抱強く戦い、後半戦から勝点獲得のペースを上げ、J1昇格プレーオフに出場するイメージか。昨年のジェフユナイテッド千葉が、今シーズンの仙台のモデルケースになるかもしれない。

(5)へ続く
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