■いまだ武器にならないセットプレーとGKがカギを握る
一発勝負のノックアウトステージでは、セットプレーがカギを握る。
インドネシア戦からバーレーン戦までは、中6日の試合間隔があった。セットプレーのパターンを練り上げる時間はあったはずだが、パターン化されたものは見せていない。久保の左CKからFW上田綺世が決定的なヘディングシュートを放ったが、これはデザインされたものではなかった。
FKから相手ゴールを脅かす場面もない。かつての中村俊輔や本田圭佑のように、相手に脅威をもたらす存在が見当たらない。「日本にFKを与えたら失点してしまう」といった危機意識を植え付けるに至らず、相手DFからすればペナルティエリア周辺でも思い切ったアタックができているのだろう。
守備のセットプレーには不安がある。バーレーン戦では相手にとって1本目のCKから失点した。GK鈴木彩艶と上田のコンビネーションミスによる失点で、鈴木はクロスやハイボールの処理が依然として不安定だ。そうかといって、イラン戦から前川薫也をスタメンで起用するのは現実的でない。
「セットプレーは大事になってくるので、失点するのはもったいない。そこは修正しないといけないです」と鈴木は話す。
イランの攻撃陣は高さと強さがある。左サイドバックのエフサン・ハジサフィが、ロングスローを入れてくることもある。ゴール前の迫力は、はっきりとバーレーンをしのぐ。21歳の守護神がどれだけ冷静に、かつ適切な判断に基づいてプレーできるかも、この試合の勝敗に影響を及ぼしてくるだろう。
イランとの対戦は、前回のアジアカップ準決勝以来となる。日本が3対0で勝利した5年前の一戦には、今大会でキャプテンを務めているハジサフィ、主力のFWサルダル・アズムン、FWアリレザ・ジャハンバフシュらが出場していた。メフディ・タレミは出場停止だが、それもまたチームの結束を高める材料になり得る。
リベンジに闘志を燃やす相手に対して、精神的に受けにまわらずに戦えるかどうか。イランのサポーターが多く詰めかけることも想定すると、試合の入りはとりわけ重要になる。