■「今日の敗因は自分にある」

 そして勝負の明暗を分けたのは、後半ロスタイム。右SBラミン・レザイアン(セパハン)の対角線のパスをモヘビが折り返した瞬間、板倉と冨安がまさかの連係ミス。こぼれ球を前線に上がっていたホセイニ・カナアニ(ペルセポリス)に突っ込まれる形になり、板倉は背後から倒してPKを献上。これをキャプテンのアリレザ・ジャハンバフシュ(フェイエノールト)に決められた。終了の笛が鳴った瞬間、板倉は円陣に加わることなく、足早にロッカーに引き上げていった。

「ホントに今日の敗因は自分にある。ここまでゲームを壊すっていうのは今までなかったし、それを勝たないといけないこの状況でやってしまったのは力のなさが出たなと。

 PKを与えたシーンも、後ろから走ってきた相手がちゃんと見えていなかった。視野の狭さを反省しないといけない」と本人も周りが見えていなかった反省を口にした。

 普段の板倉なら普通にできるプレーができなかったのは、左足首手術による長期離脱、体調不良、バーレーン戦での左足打撲などさまざまな要員が絡み合ったからだろう。守備の要の度重なるミスはあまりにも残念すぎた。

 5試合8失点では優勝できないのは当たり前。その事実を彼はひしひしと噛みしめたはずだ。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

(2)へ続く
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