ノルウェーの名将として知られるペア=マティアス・へグモ監督の求めることは現状かなりシンプルであるようだ。4ー3ー3をベースとした原則的な約束事はある。ただ、”こう来たらこう動いて”のような行動パターンや決まりごとは少なく、その範囲であればある程度、プレー選択は選手に委ねられる。
ただし、初期段階から徹底しているのがラインをしっかりと上げること、各ポジションができるだけ下がらないことだ。象徴的なのがインサイドハーフで、日本で4ー3ー3を用いているチームの多くはビルドアップの時に、左右インサイドハーフのどちらかはアンカーの位置まで落ちてボールを受けて、また前に出ていくという動きが多い。しかし、ヘグモ式の4ー3ー3は左右ともにできるだけ高い位置を取り、アンカーも原則センターバックの間に落ちない。
「インテリオール(インサイドハーフ)のところが落ちないので、そこの難しさは感じてるんですけど、その分、自分が運ばないといけない。自分で解決というよりかはじれずに出口を探して、そこはほかの選手に預けてもいいのかな」
ガンバ大阪から新加入の佐藤瑶大はそう語りながら、やりがいを前向きに捉えている。あまり可変せず、自陣に人数をかけない分、センターバックにプレッシャーが来る。そこをいかに手数をかけずに剥がして、インサイドハーフが左右のウイングに前を向かせるのか。「ドミネート(支配する)」という言葉をへグモ監督は多用するというが、それはボールの保持率を高めることではなく、前向きに相手を押し込んでいくことだ。