【沖縄キャンプで見えてきた浦和レッズ「”へグモ式”4ー3−3」(1)】インサイドハーフがポジションを落とさない前向きなドメネーション……攻撃的な左サイドバック起用もの画像
中央がインサイドハーフ起用されている浦和レッズの関根貴大で、前田直輝(左)と松尾佑介(右)の両ウイングとの関係性が求められる 撮影:中地拓也

 ノルウェーの名将として知られるペア=マティアス・へグモ監督の求めることは現状かなりシンプルであるようだ。4ー3ー3をベースとした原則的な約束事はある。ただ、”こう来たらこう動いて”のような行動パターンや決まりごとは少なく、その範囲であればある程度、プレー選択は選手に委ねられる。

 ただし、初期段階から徹底しているのがラインをしっかりと上げること、各ポジションができるだけ下がらないことだ。象徴的なのがインサイドハーフで、日本で4ー3ー3を用いているチームの多くはビルドアップの時に、左右インサイドハーフのどちらかはアンカーの位置まで落ちてボールを受けて、また前に出ていくという動きが多い。しかし、ヘグモ式の4ー3ー3は左右ともにできるだけ高い位置を取り、アンカーも原則センターバックの間に落ちない。

「インテリオール(インサイドハーフ)のところが落ちないので、そこの難しさは感じてるんですけど、その分、自分が運ばないといけない。自分で解決というよりかはじれずに出口を探して、そこはほかの選手に預けてもいいのかな」

 ガンバ大阪から新加入の佐藤瑶大はそう語りながら、やりがいを前向きに捉えている。あまり可変せず、自陣に人数をかけない分、センターバックにプレッシャーが来る。そこをいかに手数をかけずに剥がして、インサイドハーフが左右のウイングに前を向かせるのか。「ドミネート(支配する)」という言葉をへグモ監督は多用するというが、それはボールの保持率を高めることではなく、前向きに相手を押し込んでいくことだ。

  1. 1
  2. 2