■鈴木彩艶の言葉
大きな期待に若き守護神はしっかりと応えた。試合の入りから今大会一番の落ち着きを見せ、攻撃の起点となるスローインやキックを何度も見せた。最たるものが後半9分の堂安律(フライブルク)へのロングパス。70~80mの手で投げられるパワーは彼ならではではないか。これが得点につながっていたら最高だったが、決定的チャンスを演出できる鈴木のストロングが出たのは前向きな点と言っていい。
クリーンシートは逃したものの、ラストのロングスローの失点は彼の責任ではないし、この1戦で鈴木は自信を取り戻したはずだ。
「自分としては、苦しいときにチームを救えるようなプレーをしたいと思いますし、そういったシーンがないことが一番ですけど、そういう時に自分自身の力を発揮できるように今日のゲームをしっかりと振り返って、次のトーナメントに向けていい準備をしていきたいと思います」と本人も目を輝かせた。
川島ら過去の偉大な守護神たちもミスや挫折を繰り返して成長していった。そのきっかけを彼がつかんだのは朗報だ。決勝トーナメントになればPK戦なども入ってくるため、GKにかかる責任はより大きくなる。
自分自身が日本の命運を握る存在だと改めて自覚して、鈴木にはベストを尽くしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)