■起用に見られた森保監督の思惑
そこには、もちろん森保監督なりの思惑があった。
「前川を起用したりとか、経験のある選手を使う選択肢もありました。1戦目、2戦目に2失点して、本人にもプレッシャーがかかっていたと思います。その中で、まだ彼は若いですし、これからいろいろな経験を積んで、さらに大きくなってもらうという部分で、ある意味で厳しいですけど、試練を与えた。その中でチームの勝利に貢献してもらって、また成長してもらいたいという思いはありました」と3-1で勝利した試合後、指揮官は偽らざる本音を吐露したのだ。
鈴木彩艶にとっては今大会が事実上の正守護神デビュー。ポテンシャルの高さは2017年U-17W杯(インド)に参戦した頃から誰もが認めるところだったが、浦和レッズでは西川という高い壁を超えられず、昨夏のベルギー移籍後にようやくコンスタントに試合に出られるようになったところだ。
そんな状況から瞬く間に代表のゴールマウスを任され、勝敗の責任を託されるのだから、本人もメンタル的にかなり負担を感じたはず。しかも差別的な発言をSNS上で受けており、彼自身がメディア対応の場でそれを自ら発言したほどだった。本当に難しい状況に追い込まれていたはずだが、そこで外してしまったら鈴木のさらなる飛躍はない。森保監督もそう考えて、覚悟を持って3戦連続起用したのだろう。