■近代化路線をたどるが…

 そんな時代のことを知っているから、ワールドカップなどが開かれて大勢の外国人がやって来た時に、何か宗教上のトラブルが起こらないかとても心配です。

 現在のサルマーン国王はもう87歳で、実権はムハンマド・ビン・サルマーン王太子が握っており(名前は「サルマーンの息子のムハンマド」という意味)、彼が近代化と開国を推進しています。女性が自動車の運転をできるように法改正をしたのもムハンマド王太子でしたし、ワールドカップ招致などもその近代化路線の一貫です。

 しかし、大勢の外国人(異教徒)がやって来ることについて保守派は面白く思っていないはずです。日本と違って、何も外国人観光客(インバウンド)を増やして外貨収入が必要なわけでもありません。

 保守派がムハンマド王太子の近代化路線反対に動き出したら、ワールドカップは無事に開催できるのでしょうか?

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