2023年に行ったサッカー取材の現場で、記憶に残る場面を紹介する企画。まず第1回目は、サッカー日本代表の主将として第2次森保ジャパンをけん引した遠藤航が語った力強い言葉を取り上げたい。
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ノエビアスタジアム神戸の中に設けられたミックスゾーンで、遠藤の周囲にはひと際大きな塊ができた。日本代表のキャプテンの言葉を残しておこうと、多くのメディアがその前でICレコーダーを構えた。10月15日18時35分のことである。
集まった記者から、試合に挑むうえでのコンディションや、W杯アジア予選の意義などの質問が投げかけられる。遠藤は、その一つ一つに答えていく。
その流れで筆者が聞いたのは、チュニジア戦の捉え方だった。前年6月に、パナソニックスタジアムで0-3の完敗を喫した相手との試合を控えた2日前。リベンジマッチというエモーショナルな部分が大きいのか、それとも、その後の躍進を見せた日本代表にとっては完全にそれとは切り離して考えているのか。
遠藤は、「半々というか、もちろんリベンジという意味では2回は負けたくないという思いはあるし、でも相手もこちらもメンバーは変わってるっていうところもあるので、また新たなチーム同士の対戦っていうか。相手に前回負けたとか勝ったとかっていうことではなくって、自分たちが成長するために、今、チュニジアに対して何をしなきゃいけないのかっていうことにフォーカスしている方がちょっと割合的には高いかなと思います」と答えた。