サッカーではポジションごとにそれぞれの役割があり、選手それぞれに個性がある。それでも、重要なのは年間20得点する選手であると、サッカージャーナリスト大住良之は語る。その意味することとは――。
■得点王は「探す」もの
2005年以来19シーズンのJ1で20ゴールを挙げた日本人選手は11人だが、そのうち自クラブのアカデミーから昇格した選手はわずか2人(柿谷曜一朗と杉本健勇、ともにセレッソ大阪)にすぎない。高校を卒業してプロになった最初のクラブで記録した選手は、前田遼一(暁星高校からジュビロ磐田)ひとり。小林悠(川崎フロンターレ)は、拓殖大学を卒業してプロになった川崎で2017年に23ゴールを記録している。
すなわち、「シーズン20ゴール」の選手の大半は、「育てられた」わけではなく、「探してきた」のである。クラブとしての「補強」の能力に負うところが多い。だが、誰の目にも得点を量産するのが明らかな選手、あるいはすでに実績を残している選手を獲得するには、多額の資金を必要とする。補強のための資金に限りのあるJリーグのクラブとしては、日本中だけでなく世界にネットワークを張り巡らせ、才能があるのに開花しきっていない選手を発掘するしかない。