■サッカーの核心
身もふたもない話と聞こえるかもしれない。しかしサッカーという競技の「皮」を1枚ずつ剥いていって最後に「核心」が姿を現すとしたら、それは「ゴール(得点)」に違いない。チームの成績を決めるのは、行き着くところ「ゴール」であり、勝点3は、相手より数多くのゴールを挙げたチームにだけもたらされる。
どんなに試合を支配し、パスを回し、きれいに突破し、数多くのシュートを放っても、それ自体は何の意味もない。もちろんそれは「勝利」に近づくための論理的な道ではあるが、「ゴール」そのものが取れない限り、勝利は手にははいらない。
最高の例が昨年のワールドカップで日本代表を相手にしたドイツとスペインだ。ドイツは28本ものクロスを日本のペナルティーエリアに送り、権田修一が守る日本のゴールに26本ものシュートを浴びせかけた。だが結果は1-2の敗戦だった。そしてスペインは1試合で何と1070本(!)ものパスを出し(日本は224本)、そのうち992本のパスを成功させた(成功率92.7%!)。ボール支配率は、日本の17%に対し74%(中間9%)。このスペインも、日本に1-2で敗れた。
サッカーは「ゴールを取るか取られるか」に尽きる。したがってコンスタントにゴールを挙げ、「得点王」になるような選手をもつチームは、勝率が高く、その結果として優勝にからむ可能性が高いということになる。
もちろん、「チーム力が高いから得点王になる選手が生まれる」という見方もあるし、そう信じたい人も多いかもしれない。「卵が先かニワトリが先か」のような話になってしまうが、最初に紹介した浦和の例を見れば、正解はおのずから明らかではないか。「得点王になる選手がタイトルをもたらす」のである。「身もふたもない」と言うのは、そうした事実を踏まえている。