浦和レッズが必要としていた「真の9番」【「シーズン20ゴール」の意味】(1)の画像
浦和レッズのFW興梠慎三 撮影:中地拓也

 サッカーではポジションごとにそれぞれの役割があり、選手それぞれに個性がある。それでも、重要なのは年間20得点する選手であると、サッカージャーナリスト大住良之は語る。その意味することとは――。

■ミシャへの質問

「何より必要なのは、シーズン20ゴールを取る背番号9ではないですか」

 現在コンサドーレ札幌で指揮をとるミハイロ・ペトロヴィッチ監督(ミシャ)が浦和レッズを率いていた2012年から2017年にかけて、私は何回もそんな質問をした。

 浦和はミシャが就任した2012年にMF阿部勇樹とDF槙野智章を補強、さらに2013年にはFW興梠慎三、DF那須大亮、2014年にはGK西川周作、MF青木拓矢、FW李忠成など、連年日本代表クラスの選手をチームに加えてJリーグ優勝争いの主役に躍り出た。リズミカルなパスワーク、観客も相手チームもあっと驚かせるコンビネーション攻撃で、どんな相手も圧倒した。しかし「真の9番」がいなかった。

 興梠は、Jリーグの歴史のなかでも総合的に最も能力の高いFWのひとりである。しかしガツガツと点を取りまくるタイプではない。自分で取るのと同じくらい、味方に取らせることに喜びを見いだすタイプなのだ。この興梠のアシストを受け、次々と生まれるチャンスをゴールに送り込むという形で締めくくる選手さえいれば、浦和が圧倒的な強さで優勝することは間違いないと、私はずっと思っていた。

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