■大衆食堂でのふれあい

 試合当日の朝に北京から到着したばかりでしたが、早速、昼食のために街に出てみることにしました。

 訪れたのは済南の名所の一つ、〓突泉(〓は足へんに「杓」のつくり。日本語の音読みで「しゃくとつせん」)。読んで字の如く、池に泉が湧き出ており、その周囲に回廊を巡らせた中国式庭園です。

 そして、その見物の後、横道に入った大衆食堂に入ってみました。さて、中国の庶民は突然やって来た日本人に対して、どんな態度で接してくるのでしょうか……。

 予想通り、彼らはきわめて友好的でした。というより、「日本人が来た」というので興味津々で日本人見物に来るのです。庶民的な食堂では日本人はやはり珍しいのでしょう。寄ってきては、店のお薦め料理を教えてくれたり、中には一品を奢ってくれる人もいます。

「反日」という政治行動を取るのは、何らかの利害なり思想なりを持っている人、あるいは「反日」に事寄せて政府批判の意思を表明する人たちです。しかし、一般の中国人は日本人に対して、もちろん憎しみや妬みの気持ちも持っているでしょうが、それよりもまず日本人は「好奇心」の対象なのです。

 こうして、現地中国人たちとわいわい言いながら昼飯を食べた僕はホテルに戻ってから、大型バスでスタジアムに向かったというわけです。

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