後藤健生の「蹴球放浪記」第192回「巷の中国人にとって、日本人は好奇心の対象」の巻(2)「反日」のイメージを払拭した済南の食堂でのおもてなしの画像
山東魯能対横浜FMと同じ年のACL、ジュビロ磐田のホームゲームのADカード 提供/後藤健生

 現在は、ウクライナや中東で戦争が勃発しており、国際的な緊張の高まりが世界の不安を煽っている。そんな時こそ、スポーツの力が見直されるべきである。蹴球放浪家・後藤健生には、「完全アウェイ」だったはずの中国での地元民とのふれあいの思い出がある。

■公安の混乱

 日本人記者団はすべて同じフロア、たしか11階でした。そして、エレベーター前には公安(警察)が陣取っていて、「日本人が降りていくぞ」とトランシーバーで地上階に連絡するのです。

 僕より前に現地に入っていた人の話では「見張られていて勝手に外出できない」とのことでした。

 スタジアムに行くのも大型バスで全員そろって行くのです。日本人記者団は出発する時に「携帯電話(まだスマホではない)やカメラを預かる」と言われました。

「なんでやねん」と抗議すると、「没収令」は撤回されたのですが、スタジアムに到着すると、現地の警備陣が再び「いや、やはり携帯やカメラはダメ」と言い出します。どうやら、警備には中国全土から警察隊が動員されていて、相互の連絡がうまくいっていないようなのです。

 ホテルでの見張りもそうでした。せっかくエレベーター前にまで人員を配置して見張っているのに、ホテルの出口には誰もいないので勝手に外出できそうでした。

 そうなれば、“放浪家”としてはジッとしているわけにいきません。

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