■「レジェンドを呼び戻せば何とかなる」

 ただ、本気で常勝軍団を再建しようと思うなら、最初から資金を投入して実績ある大物指揮官を据え、トップクラスの陣容を揃えることもできたはず。鹿島は「レジェンドを呼び戻せば何とかなる」という考え方が根強いせいか、ら、2015年の石井正忠(現タイ代表)以降、大岩剛(現U-22日本代表監督)、相馬直樹、岩政と過去の名DFを次々と指揮官に据えてはいるが、いずれも志半ばで終わっている…、そんな印象が拭えないのだ。

 指導経験の少ない岩政監督抜擢は最たる例だった。彼も川崎の鬼木監督のように長くコーチを務めてから指揮官になっていたら、マネージメントや戦い方の幅も違っていたかもしれない。勝てる監督になる可能性のあった人材をこういう形で手放してしまうのはクラブにとっても損失だ。この結末は本当に残念でならない。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

(2)へ続く
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