■「スタイルとは所属する選手で変わってくるもの」

 実際に2018年夏のイニエスタ加入に奔走し、先頭に立って神戸の「バルサ化」を公言してきた楽天グループの創業者、三木谷浩史会長はどう思っていたのか。

 祝勝会が開催された神戸市内のホテルで行われた優勝会見。三木谷会長は吉田監督と大迫ら選手たちがコミュニケーションを密にした軌跡をまず称えた。

「今シーズンのチームはかなりオープンに意見を言い合える、風通しのいい環境にあったと思っています。そのなかで監督と選手との間で、どのようなサッカーをやれば勝てるのか、という議論がかなり出されたとも聞きました」

 同会長はその上で「バルサ化」と対極に位置する戦い方を素直に認めている。

「スタイルとは所属する選手で変わってくるものだと思っている。なので、いろいろな意見をぶつけ合ったなかで生まれたスタイル、ということでいいですよね」

 同意を求められ、隣で静かにうなずいた吉田監督は、9月に加入した35歳の元スペイン代表MFフアン・マタもわずか1試合、10分間しか起用していない。走れない選手は使わない。信念を貫いた末に手繰り寄せたJ1リーグ初優勝だった。

(取材・文/藤江直人)

  1. 1
  2. 2
  3. 3