■ほとんど見ないFK

 現行のルール(競技規則2023-24版)には、「ゴールエリア」という言葉は7回しか出てこない。そのひとつはピッチを示した図中のもので、さらに2つはこのエリアが何か説明するものとその項目名であるから、このゴールエリアが関係する競技のルールは、第13条(フリーキック=FK)と第14条(ゴールキック=GK)だけで、計わずか4回という少なさなのである。

 第13条には、ゴールエリア内のFKについて記載されている。このエリア内で攻撃側が間接FKを得たときには、そのFKは、反則の起きた場所ではなく、「反則の起きた地点に最も近いゴールラインに並行なゴールエリアのライン上」で行われる。間接FKに限られているのは、直接FKになる反則なら、当然のことながらPKになるからである。

 ゴールエリアの「ゴールラインに並行なライン」は、ゴールラインから5.5メートルのところに引かれているが、ここからの間接FKに対する守備側の選手は、他のFKのように9.15メートル離れる必要はなく、ゴールライン上、すなわちボールから5.5メートルのところに立つことができる。

 ただ、こうしたFKを目にする機会はめったにない。私は年間100試合以上取材するが、それでも数年に1度といったところか。とすれば、せいぜい数百試合に1度といった頻度なのである。チームの年間試合数と比較すると、「5~10年に1度」といった程度ではないか。だからおそらく、こんなFKは、攻撃面も守備面も練習しているチームなどほとんどないはずだ。練習はしなくても、せめてルールだけでも知っておけば、その場で対応できるのではないかと思われる。

(2)へ続く
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