後藤健生の「蹴球放浪記」第190回「初めての“手食”に挑戦したスンダ料理」の巻(1) 「インドネシアの納豆」へのトライの画像
筆者がインドネシアで助けられたテンペの揚げ物 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、ベテランのサッカージャーナリストだ。さまざまな地を訪れ、たくさんの試合や街を目にしてきたが、いまだに新たな挑戦に直面することもある。今年、U-17ワールドカップの取材で訪れたインドネシアでは、刮目すべき食べ物に出会った。

■取材のおかげで「快腸」に

 汚い話で恐縮ですが、僕はこの1年ほど軽い便秘に悩まされていました。それが、インドネシアから帰ってきたらすっかり治ってしまったのです。

 インドネシア到着後すぐに下痢気味になりました。日本人記者の中にはお腹を壊して何も食べられなくなってしまった人もいたので心配したのですが、僕の場合は大したことにはならず、かえって快調(快腸?)になったというわけです。

 人間の腸内には数百兆もの腸内細菌が棲みついており、そのバランスで様々な症状が引き起こされます。インドネシアの食べ物のおかげで、この腸内細菌叢(「腸内フローラ」)が改善されたのでしょう。

 何が良かったのか……? 最大の候補は「テンペ」と呼ばれる大豆の発酵食品です。

「インドネシアの納豆」と言われていますが、テンペを作るのはナットウ菌ではなくテンペ菌です。

 テンペは油で揚げたり、煮物に入れたりしますが、納豆のような強い香りもありませんし、糸を引くこともありませんから、テンペが入っていることに気付かないこともありました。

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