2023年の日本サッカーは、各カテゴリーでシーズンの佳境に突入している。決してトップクラスのカテゴリーではないが、超難関として知られるのが「地域チャンピオンズリーグ」だ。その重要性と課題を、サッカージャーナリスト後藤健生がつづる。
■全国リーグの誕生
日本では1964年の東京オリンピックの翌年に初めての全国リーグ「日本サッカーリーグ(JSL)」が発足した。「日本サッカーの父」と呼ばれ、東京オリンピックに向けて日本代表の強化に尽力したデットマール・クラマー・コーチ(西ドイツ=当時)の提唱によってリーグ戦システムが導入されたのだ。
それまで、サッカーの全国大会は天皇杯全日本選手権のようなノックアウト方式の大会ばかりで、いずれも短期集中方式で行われていた。大学チームは古くからリーグ戦を行っていたが、関東や関西などの地域リーグだった(現在でも、大学リーグは地域別)。
しかし、集中開催方式でのノックアウト方式の大会では1回戦で負けてしまえばたった1試合しか戦うことができないし、準決勝、決勝では連戦による疲労が溜まった状態での戦いとなる。
これでは、ハイレベルの試合をたくさん経験することができない。
そこで、クラマー・コーチは「日本サッカーを強化するにはリーグ戦方式を取り入れなければならない」という提言を行ったのだ。クラマー・コーチは「まずは地域リーグ」と考えていたようだが、当時の日本サッカーのリーダーたちは一気に全国リーグを結成した。
そして、全国リーグであるJSLと各地域リーグとの入れ替えシステムが導入された。