■命運を分ける昇降格

 各リーグの昇降格はシーズン終盤の大きな話題だ。昇格あるいは降格というのは次年度以降のチーム強化、クラブ経営に大きく関わることなので、ある意味で優勝争い以上の重みを持つ出来事だ。

 しかも、昇降格は単にチームの成績だけでなく、クラブ・ライセンスの有無といった要素にも左右されるので複雑な様相を呈することも多い。

 たとえば、今シーズンのJ3リーグではFC大阪の動向が最後まで注目された。もし、J2ライセンスを持っていないFC大阪がJ3リーグで2位以内に入れば、J2リーグで21位となった大宮アルディージャは降格を逃れることができるからだ。

 だが、J3リーグ最終節を待たずにFC大阪が2位以内に入る可能性は消滅し、大宮のJ3降格が決まった。

 一方、命拾いをしたのがJ3リーグで最下位となったギラヴァンツ北九州だった。

 J3リーグでは、今シーズンから日本フットボールリーグ(JFL)との入れ替え制度が導入された。JFLに降格すれば、「Jリーグ」という看板を外さなければならないので、クラブにとってはかなり大きな痛手になるはずだ。

 しかし、JFLではHonda FC(本田技研)が早々と優勝を決めていた。本田はアマチュアの雄と呼ぶべき企業チームであって、Jリーグ入りを希望していない。しかし、2位にJリーグ・ライセンスを持っているクラブが入れば、最下位の北九州は入れ替え戦を戦わなければならなくなるのだ。

 そして、迎えたJFL最終節。2位争いは4チームが絡む混戦となっていたが、前節まで2位に付けていたレイラック滋賀が引き分け、ラインメール青森とソニー仙台は敗れて、5位だったブリオベッカ浦安が勝利して、大逆転で一気に2位に浮上した。

 今シーズン、関東リーグから昇格したばかりの浦安はリーグ前半戦では成績が上がらず、苦戦を余儀なくされたが、都並敏史監督が組織的なチームを作り上げて後半にはほとんど負けなしの快進撃を続けて2位に入ったのだ。

 しかし、浦安はライセンスを持っていないのでJ3リーグ昇格はならず、こうして北九州のJ3リーグ残留が決まったのだ。もし、滋賀か青森が2位に入っていたら、北九州は史上初のJ3からの陥落を経験することになったかもしれないのだ。

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