■乾貴士という「質的優位」を生かすために
4分の1の戦いが、11月25日に幕を開ける。東京ヴェルディ、清水エスパルス、ジェフユナイテッド千葉、モンテディオ山形が出場するJ1昇格プレーオフだ。
25日には、4位の清水と5位の山形が激突する。リーグ戦上位の清水は、ふたつのアドバンテージを得ている。ホームで戦うことができ、引分けでも勝ち上がることができる。
条件は有利である。気になるのはシーズン終盤の戦いぶりだ。
秋葉忠宏監督が就任後の清水は、爆発的な攻撃力を強みに順位をあげ、勝利を重ねながら試合運びに磨きをかけていった。ところが、37節の藤枝MYFC戦で0対2の敗戦を喫し、40節のロアッソ熊本戦でも1対3で敗れた。そして、水戸ホーリーホックとの最終節は1対1のドローである。
このところの失点パターンを振り返ると、守備組織をはっきりと崩されたものより、自分たちのミス絡みのものが圧倒的に多い。その流れで考えると、前線から規制をかけてくる山形の守備を剥がすことに、必要以上にこだわるのは危険だ。中長距離のパスを使い、相手のプレスを回避する選択も織り交ぜるべきだろう。
中長距離のパスを前線へ送る場合は、セカンドボールの行方がポイントになる。MFホナウドとMF白崎凌兵のダブルボランチがボールを回収し、トップ下の乾貴士が前向きにボールを持つことができれば、J2屈指の「質的優位」を発揮することができる。
清水の不安材料は交代カードだ。
FWチアゴ・サンタナ、MFカルリーニョス・ジュニオ、乾、MF中山克広の攻撃のカルテットはJ2屈指だが、途中出場の多いFW北川航也が7月1日の試合を最後にノーゴールなのだ。長身FWオ・セフン、MFベンジャミン・コロリらも、ゴールから遠ざかって久しい。
追いかける展開には不安が残る。先行逃げ切りが理想だ。リードした展開でDF北爪健吾、DF岸本武流らを投入し、システムを変更しながら試合をクローズする。リーグ戦の勝ちパターンを取り戻せるかどうかが、清水のポイントになるだろう。