■露呈した経験の少なさ

 初戦でもサンティアゴ・ロペスやクラウディオ・エチェベリのアルゼンチン・スタイルのドリブル(ボールタッチ数の多いドリブル)は見事だったが、攻撃の展開は遅かった。パスを受けて一度ボールを止めてからドリブルに移るようなクラシカルなスタイルだったからだ。

 しかし、日本戦ではアルゼンチンがスピードのある攻撃を仕掛けてきた。日本の選手は、スカウティング情報とは違った相手のスピードに面喰ったのではないか。

 そして、5分にはエチェベリが倒されて獲得したFKをエチェベリ自身が決めて先制に成功する。セネガル戦では絶好の位置のFKを3本とも外していたエチェベリもキックを修正してきた。

 こうしてフルパワーで攻めに出てきたアルゼンチンのパス回しに対して、日本の選手たちは当初のプラン通りに前線から積極的にプレッシャーをかけようとしたが、アルゼンチンの個人技にかわされてしまった。前線の選手と守備的ポジションの選手の間での意思のズレもあったようだ。

 こうした場面では無理にボール奪いに行かずに、しっかりとスペースを消すような守り方で相手のスローダウンを待つべきだったろう。

 たとえば、森保一監督が率いるフル代表の選手たちは経験豊富だから、相手の出方を見て瞬時に守り方を変えたことだろう。しかし、国際試合の経験が少ない17歳以下の選手にとって、それは難しい要求だったようだ。

 実際、アルゼンチンの猛攻は20分までで、相手がスローダウンしてからは日本は互角に戦えていたので序盤戦での判断ミスは残念だった。

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