■乾が後半に1得点1アシスト!

 前半を2対0で折り返した清水は、後半開始からシステムを変更する。4-2-3-1から3-4-2-1へ立ち位置を変えた。今シーズン何度も見せてきた必勝パターンである。

 後半も多彩な攻撃を見せる。練度を高めてきたコンビネーションで崩すだけでなく、シンプルな縦パスからも相手ゴールへ迫る。いつでも追加点を奪えるような雰囲気のなかで、63分に3点目が生まれる。MF乾貴士が高い位置でボールを奪うと、相手と味方の位置を見きわめてDF岸本武流にパスをつなぐ。61分に途中出場したばかりの岸本は、ペナルティアーク付近でパスを受けて左足を振り抜く。DFに当たってコースの変わった一撃が、ゴール左に吸い込まれた。

 秋葉忠宏監督は直後に3枚替えを行ない、チーム全体の運動量とプレー強度を保つ。そして迎えた68分、勝利を決定づける4点目が生まれる。

 自陣右サイドでボールを奪ったカルリーニョス・ジュニオが、そのままドリブルで持ち出してカウンターをしかける。3対2の局面で、ペナルティエリア左外の乾にパスがわたる。背番号33は足の裏での細かなタッチで相手のシュートブロックをずらし、右足でゴール左へ流し込んだ。この日1得点1アシストの乾は、シーズン通算10ゴール10アシストとした。2ケタ得点はセレッソ大阪在籍時の09年以来、実に14年ぶりとなる。

 GK権田修一を中心とする守備陣は、大宮をシュート4本に抑えた。3試合ぶりのクリーンシートを達成した清水は、4対0で大宮をくだした。

 清水は勝点を「73」にのばしたが、同時刻開催の試合で3位のジュビロ磐田も勝利した。このため、J1昇格は最終節へ持ち越されることとなった。次節は水戸ホーリーホックとのアウェイゲームとなる。試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、いつものように熱っぽい口調で語りかけた。

「全員が勇気を持って大胆に、ダイナミックに、超攻撃的に、超アグレッシブに、やり続けてくれた。ただあとひとつ、最終戦でアウェイの水戸戦が残っていますので、必ず勝って全員で喜びたいと思います」

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