なでしこジャパンの戦いぶりが、話題となった。今年の女子ワールドカップで話題となったような果敢な戦いぶりではなく、その対極にある姿勢が問題視されたのだ。そうした戦いぶりはどうして生まれ、今後にどういう影響を及ぼしかねないのか、サッカージャーナリスト・大住良之がつづる。
■新たな黒歴史
2018年の西野朗監督の決断は、ワールドカップのなかでは「弱者」でしかなかった日本が生き残る唯一の手段であったと理解できた。たしかに日本が攻めず、すでに敗退が決まっていたポーランドも「せめてもの1勝」と割り切って日本にボールを回させていた10数分間は、その試合を楽しみにきたファンに大きな失望を与えたに違いない。しかし西野監督の決断は、一歩間違えば(その時点で0-1とリードされていたセネガルがコロンビアを相手に1点を取ってしまえば)大失敗に終わるという「重大なリスク」を負ってのものだっただけに、非難する気にはなれなかった。
そしてまた、日本のサッカーはもうひとつの「黒歴史」をつくってしまった。公平に見て、「ウズベキスタン×日本」はアンフェアそのものの試合であり、「スキャンダラス」と言っていいものだった。ウズベキスタン代表の監督が日本人の本田みどりさんであったことも、その重要な側面である。そんなことはありえないが、「試合前から2-0を約束していたのではないか」と憶測されても仕方がない。