なでしこジャパンの戦いぶりが、話題となった。今年の女子ワールドカップで話題となったような果敢な戦いぶりではなく、その対極にある姿勢が問題視されたのだ。そうした戦いぶりはどうして生まれ、今後にどういう影響を及ぼしかねないのか、サッカージャーナリスト・大住良之がつづる。
■避けたかった相手
ことし6月にオーストラリアとニュージーランドで行われた女子ワールドカップに、アジアからは6か国が出場したが、4か国(フィリピン、中国、ベトナム、韓国)はグループリーグで敗退。活躍したのは、4位となった開催国オーストラリアとともに、ベスト8で止まったもののグループリーグでは最終的に優勝を飾ったスペインに4-0で圧勝するなど、スピード感あふれるプレーで大きな話題となった日本だった。
このワールドカップを経た現在のFIFAランキングでは、日本が8位、オーストラリアが11位、それに次ぐのが中国(15位)と韓国(20位)である(北朝鮮はことし8月発表のFIFAランキングでも「順位外」だった)。
オーストラリアには、のちに今年のAFC最優秀女子選手に選出されることになるFWサマンサ・カーがいる。イングランドのチェルシーだけでなく世界のトップスターのひとりといってもいい存在で、スピードあふれる突破とシュート力は脅威そのものだ。
オーストラリアは、女子ワールドカップではグループリーグで2021年の東京オリンピックで金メダルを獲得したカナダを4-0で下し、準々決勝ではフランスを0-0からPK戦7-6で押し切った。そうした強豪との「準決勝」はできれば避けたいと思うのは当然である。そしてC組1位通過が見込まれる日本が「準決勝」でオーストラリアとの対戦を避けるには、「グループ2位進出国」をA組から出させなければよいのである。
しかも、オーストラリアと1位同士の対戦となれば、第1戦は日本で、第2戦はオーストラリアでの試合となる。2月下旬、まだ寒さが厳しい日本での試合の後、大きな時差はないものの、10時間を超える移動をし、中3日で真夏のオーストラリアで試合をしなければならないのは、非常に厳しい。
アジアサッカー連盟(AFC)はなぜこのような大会方式をとったのだろうか。もちろん、国際サッカー連盟(FIFA)の「女子国際マッチカレンダー」に合わせたものだが、来年2月には、4チームの総当たり方式をとった今年10月~11月のマッチデー(10月23日~11月1日)と同じ10日間(2月19日~28日)の日程が用意されているのである。3次予選を「ホーム・アンド・アウェイの準決勝」方式ではなく、「1回戦総当たり集中開催方式」とすれば、そしてそれを3次予選進出の4か国以外の中立国でやれば、より公平な形だったはずだ。