15年前にバルセロナが示していた「試合中の波」の攻略法【サッカー日本代表のさらなる成長へのポイントは「ゲームコントロール」】(3)の画像
森保監督の下、日本代表はさらなる高みを目指し続ける 撮影:中地拓也

 サッカー日本代表が10月シリーズを終え、連勝記録を伸ばした。充実の時を迎えているように映るが、成長の余地はまだまだある。日本代表がさらなる高みを目指すためには、何が必要なのか。サッカージャーナリスト・大住良之がつづる。

■バルサが示していた傾向

 15年ほど前、スペインのFCバルセロナが革新的なサッカーを完成させようとしていたころ、アナリストの庄司悟さんが試合のデータから思いがけないことを発見した。

 バルセロナは高い集中力で試合にはいり、圧倒的にボールを支配する。その支配力は20分を過ぎると少し落ち、相手にボールを握られる形になる。しかし30分を過ぎると再び圧倒的な支配となり、そのまま前半を終了する。そしてこの「高-低―高」という形が、後半も繰り返される。

 庄司さんの興味は、この「低」の時間帯にバルセロナというチームが何をしているかということだった。そしてその時間帯になると、ひとりの選手のボールタッチ数とボール保持時間が急激に増していることを発見した。ブラジル代表のFWロナウジーニョである。

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