10月29日の16時13分11秒、三共F柏スタジアムのピッチの上でレッドカードが掲げられた。福島孝一郎主審がオンフィールドレビューを経て退場の判断を下したのは、遠野大弥だった。これが川崎フロンターレにとって、今季、7度目となる退場の瞬間である。
退場の前にはVARが介入する告知があったが、その時点で鬼木達監督はすでにホワイトボードを手にしていた。そして実際に退場が決まると、すぐにピッチ上の選手に指示を出している。バフェティンビ・ゴミスを1トップとし、中盤は右から家長昭博、脇坂泰斗、橘田健人、マルシーニョと並べる4―4-1を選択したのだ。
鬼木監督にまず聞きたかったのは、退場処分が出る前にすでにホワイトボードを握ったことについてだった。その迅速な対応について尋ねると、「退場するのは仕方ないと思ってるんで、そこはすぐに準備しますね」と話し、その瞬間の頭の中を次のように説明する。
「とりあえずの応急処置なのか、もうそれすら危険なのかとか、そこはすぐにどんどんジャッジしていかないといけない。それが自分の仕事だと思っているので。そこはそうですね、冷静になりますね、より。冷静にならなきゃって自分自身に言い聞かせるというか」
実際、鬼木監督が話すように、その後、システムを変更している。家長を前に出して4-3-2としたのだが、試合後に「早い段階で構えるのではなく、前に出ないと、より長い時間難しくなると思ったのでその判断にした」とその変更の理由を説明している。