■「シーズン通して、少しずつ自信が積み上がっている」

 そこから徐々に磐田が攻勢を強める。ヴェルディの城福浩監督は2枚交代、磐田の横内昭展監督も松本昌也に代えて古川陽介、山田に代えて藤川虎太朗を投入した。磐田の同点弾は後半24分にもたらされた。ヴェルディのFW染野唯月が放ったループシュートがわずかにゴール上に外れた直後、磐田は右サイドから攻め上がると、ドゥドゥを起点に中央で上原力也が絡み、左サイドバックから斜めに上がってきた松原后がミドルシュートをはなつ。

 ヴェルディのGKマテウスが弾いたクリアボールを右側でドゥドゥが拾い直すと、右サイドバックの鈴木雄斗がインから追い越して、ヴェルディのディフェンスを引き付ける。そこからドゥドゥはワイドに流れた上原と二度のパス交換で相手を翻弄し、最後は上原が左足でファーサイドを破った。

「やっぱり交代ででた選手もすごくパワーを持っていいプレーしてくれているので。終盤どうにか1点取れるというのはシーズン通して、少しずつ自信が積み上がっている。そこで2失点目すると苦しくなりますけど、1ならしっかり返せるんじゃないかと。比較的、後半の早い時間帯だったので、そういう理解でみんながプレーできていたと思います」

 その同点ゴールをベンチから見届けた山田は振り返った。そこから、さらに磐田がボールを握って攻め込む時間は多かったが、ヴェルディもセカンドボールや自陣でボールを引っ掛けたところかたカウンターで磐田ゴールに迫るシーンがいくつもあった。しかし、両者に勝ち越しゴールの無いまま試合終了のホイッスルが響き渡った。

 非常に見応えある試合だったが、1時間前にキックオフした2位の清水エスパルスが、ロアッソ熊本に1ー3で敗れたこともあり、お互いが勝ち点2を逃した”痛み分け”だったと言えるかもしれない。それでも山田は前向きなメンタリティで、残りの試合を戦い続けることの大事さを強調した。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

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