■「これをスタンダードとして持ちながらやり続けたい」
これまでアジア最終予選など、代表レベルで何度も修羅場を経験してきた守護神から見ても、この日の清水の選手たちの気迫というものが伝わる。権田は「今日みんなが勝ちたいと思ってやったからこそ最後、誰かしらにボールが当たって、前にこぼれるシーンばっかりでした」と語った。
ダービーの勝利というのは”このぐらいでいいだろう”ではなくもう1歩、もう1歩でも足りないから、もう1歩半、二歩とみんながこだわった結果だと権田は言うが、前節の藤枝戦も含めて、この何試合かはそれが薄れていたことを権田も認める。
「今日の試合で、これがスタンダードだよという部分を作れたのはチームにとってプラスですし、ラスト4試合、これがスタンダードなので。間違いなくできると思います。これをスタンダードとして持ちながらやり続けたい」
確かに終盤戦で2位と3位の対戦というダービーには勝利できたが、その大一番を制したことの重大さを承知で言えば、残りの4試合、特に2週間後のいわきFC戦を相手に勝ち点3を落とし、逆に3位に浮上した東京ヴェルディや4位の磐田が勝利すれば、順位は追い抜かれるし、ダービーに勝ったことが、それ以上の意味をなさなくなってしまうのだ。
(取材・文/河治良幸)
(後編に続く)