■考察に値する事実

 考えてみてほしい。ピッチに立っているのは22人である。ヘディングをする選手には、10人の味方選手と11人の相手選手がいる。「失敗」には、タッチラインやゴールラインを割ってしまうというケースもあるから、ヘディングしたボールが行く先は、厳密には「味方か相手か五分五分」ではないが、それを考慮外に置けば、仮にヘディングがただ頭でボールを打つだけで「どこに行くかはボールに聞いてくれ」というものであっても、21回のうち10回は味方に行くはずである。すなわち、「成功率」は、「無目的なヘディング」であっても47.6%にはなるはずなのである。それが40%を切るとは…。

 もちろん、プレーの状況でさまざまなヘディングがある、相手の鋭いクロスに対し、相手と競りながらかろうじてはね返すものもあれば、小さく浮いてきたボールをフリーの状態でスタンディングのままできるものもある。「クリア」の状況では、とにかく自ゴールからボールを遠ざけることが優先され、ボールの先にいるのが味方か相手かなど、あまり問題でない状況もある。しかしそれにしても、日本のトップクラスの試合で「ヘディングパス成功率が40%を切る」という事実は、十分考察に値するのではないか。

(2)へ続く
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