■両手を上げて喜ぶ姿
なお、橘田は元々シュート力はある選手で、シーズン前のキャンプ中にはドライブ系のシュートの練習を繰り返していた。クロスバーを越えようかという軌道のシュートが、ストンと落ちてゴールネットを揺らす。そんなシュートを何度も蹴っており、今季はゴールの量産が期待されていた。
しかし、橘田の今季ここまでのゴールは、開幕戦の横浜FM戦での1ゴールのみ。谷口彰悟のあとをついで就任したキャプテンとしてシーズンに臨んだが、ゴールを量産するどころか、先発に定着することもままならず、苦悩のシーズンが続いていた。
だからこそ、ゴール直後の喜びが、痛いほど伝わってきた。普段は感情を表に出さない橘田が両手を上げて喜びを爆発させ、ピッチ脇で出迎える控え選手たちの輪の中に飛び込む。その姿から伝わってきたのは、キャプテンとして重圧と、その責任を果たせたという喜びだった。苦悩のシーズンを吹き飛ばすキャプテンの一発だった。
(取材・文/江藤高志)