■神戸が施した対策
こうして、自らが攻め上がるのが難しくなった横浜FMのサイドバックは前線の両サイドアタッカーを使おうとした。
横浜FMの前線は右にヤン・マテウス、左にエウベル、そしてワントップにアンデルソン・ロペス、トップ下に西村拓真という並びだった。ヤン・マテウスとエウベルの突破能力は相手にとってはかなりの脅威となる。
横浜FMがサイドからのクロスから得点を狙うのは、4年前にポステコグルー監督の下で優勝したときからのものだ。サイドからのクロスを中央または逆サイドから入ってくる選手が合わせて決めるのが得点パターンだった。両サイドを担当していた仲川輝人(現FC東京)や前田大然(現セルティック)が多くの得点を決めることができたのも、こうした戦術のおかげだった。
今でも、横浜FMの試合前のウォーミングアップを見ていると、サイドからのクロスに中央や逆サイドの選手が合わせるというパターンを繰り返している。サイド攻撃は彼らの生命線の一つなのだ。
だが、サイドバックの攻撃参加を封じ込んだ神戸の守備陣は、サイドバックから両サイドアタッカーへのパスコースを読み切っていた。エウベルを狙う縦パスが出た瞬間に神戸の右サイドバックの酒井高徳がエウベルの一歩前に出てパスをカットする場面が何度もあった。左サイドでも同様に、初瀬亮がヤン・マテウスへのパスを遮断した。
こうして、吉田孝行監督自身も語ったように、神戸にとって前半はまさにプラン通りだった。