10月9日、千葉市内のピッチの上で黙々とシュートストップに挑んでいた。フィジカル面での調整のために、ひとつひとつの練習の間に数十秒の“空き時間”が設けられる。その時間も無駄にせず、腕を動かして体をほぐすととともに、集中するかのような素振りを見せていた。これは、ヴィッセル神戸に所属するGK前川黛也についてのものだ。
2021年3月に招集されて以来となるサッカー日本代表に、前川は選出された。J1リーグで首位を走るチームの守護神としての力を評価されて、偉大な舞台に戻ってきた。この日が、その代表活動の初日だった。
「日本代表の日の丸を背負えるってことは幸せなことなんで、はい、かみしめながらやっていきたい」
練習後にこの言葉を口にするその表情は、とても神妙だった。
前回の代表招集とは、異なる感触がある。「前回は、ACLのプレーによって評価されたというところもあったんです。そのときの選ばれた感じとしては、あまり自分の中でも自信がない中での選出だった」というが、「今回はこうやってチームでも首位っていうところで、やっぱ結果を出しつつ自分自身もすごく高めながらプレーして選ばれたことなので、すごく自信を持って今回は参加できています」という。