■「W杯優勝を掲げている中では、間違いなく必要になってくる」

 カタールW杯で日本が選択したのは守備的な戦い方で、それがあればこそ、ドイツやスペインを破るという躍進を見せることができた。一方で、あえてそこを“反省点”としているのが第2次森保ジャパンであり、谷口の中でもそこへの意識がある。

「どんな強豪国相手でもやっぱりコンパクトに守るっていうのは必要」としたうえで、こう説明する。
「引いてコンパクト(にする戦い方は日本代表は)はある程度できるというか、W杯で実際そうやって勝ち上がりましたし、人数をかけて守るっていう部分では日本は相当世界の中でも、しっかりと守れる力はあると思います。

 ただそれが4枚で、スペースが広い中でどれだけ高く設定して、それを守り切れるかっていうのは、すごく日本の課題。今、日本がワールドカップベスト8以上、そしてW杯優勝を掲げている中では、(そうしたコンパクトさが)間違いなく必要になってくるので、人数をかけずにというか、ひとりひとりの守備の範囲を広くする(必要がある)。世界のトップの国を見れば、(日本にも)そういう選手がどんどん増えてこないといけないし、そうやって守れるようなプレーヤーになっていかないといけない」

 W杯でのスペイン戦後のミックスゾーンで谷口は、「相手がスペインであろうが、そこは全然できるなっていうのもすごく立ち上がりから感じれた」と語っていた。だからこそ、次の一歩に踏み出そうとしているし、そのためのさらなる成長が危機感へとつながっているのかもしれない。

「久々にまた日本で代表活動ができるっていうのは非常に嬉しいですし、たくさんの方が見に来てくださると思うので、そういう方々にしっかりとしたプレーを見せて結果を残したい」

 こうも語る谷口が、新潟と神戸でどのような成長ぶりを見せるのか。30歳を超えてなお自分磨きに余念がない青黒のCBが、新たな驚きをもたらす。

(取材・文/中地拓也)

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