■現実的な指揮官のアプローチ
しかも、鎌田や上田、遠藤は今夏、新天地に赴いたばかり。チーム適応に苦労している今の時期に10日以上、日本に戻ってくるのはリスクが大きすぎる。
代表は代表で限られた強化の場しかないため、貴重な時間を最大限有効活用しなければならないという指揮官の思いもよく理解できるが、選手が所属先で試合に出られなかったら元も子もない。そのあたりは多少、配慮しながら人選を進めてほしいものである。
こういった要望は各方面から届いているはずだが、頑なな一面のある森保監督は今回、陣容をほぼ変えないと見られる。2026年W杯予選に向けた一歩を確実に踏み出し、2019年UUAE大会で逃したアジア王者の座を奪取すべく、10月シリーズは「継続性」を重視しながら基盤作りを推し進める覚悟ではないか。
発表を待つ側としてはやや興覚めであるが、現実的な指揮官のアプローチの行方をまずはしっかりと見守るしかない。
(取材・文/元川悦子)