■優雅な時間

 さて、杭州での最大の思い出は西湖の畔の茶楼でお茶を飲んだことです。

「たかがお茶」が、なんで最大の思い出なのかといえば、それが大変に高価だったからです。「特級西湖龍井茶」に茶菓子を付けて、支払ったのが126人民元でした。当時のレートは1元=16円くらいでしたから、約2000円。それほど高価とは思えないかもしれませんが、たとえばレストランで肉や魚、それに麺や炒飯を食べて、ビールか紹興酒をしこたま飲んでも60元くらいで済んだのですから、お茶が126元というのはなかなかなものです(もっと高いお茶もいっぱいありました)。

「龍井茶」(ロンジン茶)というのは、皆さんもたぶん聞いたことがあるでしょう。杭州特産の高級茶です。なにしろ、ホテルからスタジアムまで歩く道路が「龍井路」というのです。西湖の西の山がその産地。つまり、西湖というのはまさに「龍井茶」の本場中の本場というわけです。

 そんなわけで、高価なお茶を前に僕は窓から美しい西湖の景色を眺めながら、茶楼で1時間以上を過ごしました。

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