■「自分自身に課していきたい」
しかしながら、後半になって相手がハカン・チャルハノール(インテル)らを投入し、ギアを上げてくると、日本の中盤は劣勢に立たされる。田中碧自身もクラブの直近2試合を欠場していた影響もあるのか、体力的にかなり厳しくなり、球際や寄せで負ける場面が散見されるようになった。
その悪い流れを後半18分に出てきた遠藤航(リバプール)がしっかりとコントロールし、最終的には伊東純也(スタッド・ランス)のダメ押しPKによって勝ち切れたが、後半15~20分間にキャプテン・田中がゲーム展開を修正しきれなかったことは課題と言っていい。
「僕自身も強度が落ちて、球際で負けたり奪われたりした。タフな相手に90分通して奪い切れることはボランチとして必要不可欠。ボールを動かすことよりも重要になってくる。そこは自分自身に課していきたいと思います」と彼は久しぶりの代表スタメン復帰戦で新たな決意を固めた様子だった。
実際、遠藤と守田英正(スポルティング・リスボン)の「鉄板コンビ」を超えたいと思うのなら、ベースの部分を引き上げることは絶対に必要だ。田中碧が2人を上回れるとしたら、パスを出し入れしながらゲームを作る戦術眼と得点力だろう。そのよさは生かしつつ、守備の部分で1対1で負けない強さ、ボール奪取力を高めることが必須。森保一監督はそれができると考えているからこそ、トルコ戦でキャプテンマークを託したはず。9月10日に25歳になった男の新生ジャパンでの地盤固めはここからが本番だ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)