■ジェジエウと谷口彰悟の不在の在
大南は9月15日のFC東京戦でフル出場すると、海外への移動もある中での中3日のジョホール戦にも90分間出場した。ベットリとした暑さとも戦いながらの後半の防戦一方な状況に、疲れはなかったか聞いてみると、その胸のうちに秘めた熱い言葉を発してくれた。
まず、「足はつってないです」とし、「でも、きついです。きついですけど……」と、言葉を選んだうえで、「やっぱり後ろが変わるっていうのはなかなかないことなので、他のチームを見ても。やっぱり前を変えてフレッシュな選手にしてっていうのが大事なので。後ろは我慢するポジションだし、前の選手の方が走る量とか強度が高いので、自分が交代したいなっていう気持ちはなく、本当に楽しんでやれているんで、ポジティブにって感じです」と続ける。
そして、「90分通してしっかり集中してできてるというのもありますし、個人的にはちょっとずつですけど、成長してるなと実感しているんで。それが楽しさの一つにもなってますし、このチームでタイトルを取りたいっていう気持ちで来てるので、そのタイトルを取る中で試合に出られたらいいなと。その目標が一つ大きい自分の原動力です」とも言葉をつないだ。
今季の川崎は失点が多く、なかなか波に乗れていない。それでも、ここ2試合では守備の形を変えた中でどちらも無失点に抑えることができた。その裏にも、大南の覚悟があった。
「ジェジがいなかったりとか、彰悟さんがいなかったりとかってところで比べられてしまうので、それに負けないくらい自分の力をつけたい」
昨季まで川崎の絶対的なCBだったジェジエウと谷口彰悟の存在感に負けぬために――。大南が誓うのは自らの成長と、そして、タイトルの獲得だ。
(取材・文/中地拓也)