■町田の優位は変わらないが…

 前半終了間際に失点した町田は、2対1で後半を迎えた。清水はここ数試合と同じように、4-2-3-1から3-4-2-1へシステムを変更してきた。

 守備時は4-2-3-1から4-4-2へ可変する町田は、藤尾、髙橋、右MFバスケス・バイロン、左MF平河悠が相手のビルドアップに規制をかけていく。前半に比べてプレスが乱れることはなかったが、相手がピッチの幅を広く使ってボールを動かしてきたことで、スライドの距離が長くなっていく。

 61分、清水のMF乾貴士にドリブルシュートを決められ、2対2の同点とされる。町田の黒田剛監督は直後に3選手を入れ替え、システムも3-4-2-1とする。しかし、戦況を好転させることにはつながらない。

 5枚目となる次の交代カードは、清水FWチアゴ・サンタナに強烈なヘディングゴールを決められ2対3と逆転された直後の85分だった。エリキの負傷交代がなければ、2対2の時間帯に交代カードを使うことができたはずだ。もう一度出力をあげる交代ができたはずである。

 前節の磐田戦後、黒田監督は「ここ(清水戦)で勝てばさらに優勝が近づく」と話していたが、清水戦後には「前半のうちに交代カードを使わなければならなかったことが、計算を狂わせた」と唇を噛んだ。

 31節を終えた上位陣の成績は、首位の町田が勝点63、2位の磐田が勝点57、3位の清水が勝点55となっている。磐田との勝点差は「6」、清水との勝点差は「8」に縮まったが、町田は消化試合がひとつ少ない。延期されているブラウブリッツ秋田戦に勝利すれば、磐田とは勝点9差、清水とは勝点11差となる。

 リーグ戦のセオリーとして、勝点5差を埋めるには5試合が、勝点10差を詰めるには10試合が必要と言われる。J1昇格争いで町田が優位に立っているのは、依然として変わらない。

 町田が避けるべきは連敗である。次節は6位タイのモンテディオ山形をホームに迎え撃つ。5連勝で一気にJ1昇格プレーオフ圏へ浮上してきた山形を叩くことで、追いすがるライバルたちにプレッシャーをかけていきたい。

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