その前田大然だが、日本代表では「絶対的FW」を地位確立したとは言えない状況だ。
カタールW杯でドイツ・スペイン・クロアチアという重要ゲームでスタメン抜擢されながら、今年6月のエルサルバドル(豊田)・ペルー(吹田)2連戦ではともにベンチスタート。ペルー戦ではダメ押しとなる4点目を奪ったものの、上田綺世(セルクル・ブルージュ)や古橋亨梧(セルティック)の後塵を拝する形になったからだ。
昨季のセルティックでの前田は4-3-3の左FWを主戦場にしており、「左のドリブラー」として多種多彩な仕掛けを見せていた。その成長ぶりを森保一監督も間近で確認したいと考えたのか、6月シリーズはずっと練習で左サイドに置いていた。が、三笘薫(ブライトン)という絶対的エースが君臨するこのポジションで、前田が実戦起用されることは最後までなかった。
「左はまだまだだと思っているので。しっかりチームに帰って『もっとできる』という自信をつけてから、代表でまたやる機会があればやりたいと思ってます」と本人は力不足を潔く認めていた。
セルティックで元オーストラリア代表ウイング、ハリー・キューウェル・コーチから直々指導を受けただけあって、スピードあるドリブル突破はかなり魅力的ではあった。けれども、実際、代表の左サイドには三笘がいるし、成長株の中村敬斗(LASKリンツ)も猛追している。久保建英(レアル・ソシエダ)も左に回る可能性がある。そう考えると、やはり代表では最前線で地位を築いた方が得策なのかもしれない。