■求められるべき「責任ある態度」

 それはともかく、この混乱が、昨年のワールドカップでFIFAが定めた「ウォームアップエリア」とその運用の粗雑さが引き起こしたものであるということについては、ほとんど話題にならなかった。

 監督が指示を送る「テクニカルエリア」については、そこにはいることのできる者は「責任ある態度で行動しなければならない」と規定されている(競技規則第1条第9項)。だが「ウォームアップエリア」については、競技規則には、その存在さえ、何の規定もないのである。競技会やスタジアムの都合に合わせて、そして通常はレフェリーの許可を得て「エリア」を設定し、三々五々交代要員が出てアップしているというのが現状なのである。

 だが、得点のたびに交代要員がピッチに侵入したり、また副審に圧迫感を与えるのは、明らかに間違っている。私は少なくとも、「ウォームアップエリア」にもテクニカルエリアなみの「責任ある態度」を求めるべきだと思っている。

 というわけで、競技規則に何の記述もない「ウォームアップエリア」は、混乱のときを迎えているように、私には思えるのである。そしてその混乱のひとつが、京都サンガF.C.×横浜FCの三田の退場事件だったと…。

(3)へ続く
PHOTO GALLERY ■【画像】カタールW杯と違い、十分にウォームアップのスペースが取られた南アフリカW杯の会場
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