■退場劇の最大の論点
レフェリーに対する抗議が許されているわけではない。詰め寄ることも同じように禁じられた行為だ。ときとして判定に不満が起こるのは仕方がない。しかし激しすぎたり、執拗であったり、その間に侮辱的な言葉を発したりポーズを取ったりしたりしない限り、レフェリーたちは大目に見る。それでも、その経過のなかでレフェリーの体に触れてしまったら、即レッドカードである。三田が和角副審に触れてしまったことは、ビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)が確認した。
このVAR確認中にボールを出したのは京都の山崎だったことも池内主審に伝えられ、スローインは一転して横浜FCボールとなった。厳密に言えばVARが介入する範囲を逸脱しているが、一連のプレーをチェックするなかで明白になったことだったので、VARのアドバイスを受けて判定を変えたことはそう大きな間違いとは思えない。ただしこれは個人的な感想である。
さて、ここでの最大の論点は、VARの運用や、選手の手がレフェリーの体に触れたか触れなかったかではない。そもそも、スローインの判定に対してウォームアップ中の交代要員が集団で(7人全員いた。彼らにウォームアップの指導をしていた横浜FCの2人のコーチは、両手を広げて選手たちを止めていた)副審のところまで詰め寄り、抗議をしたことだ。
ピッチ上の選手が副審に向かって「逆でしょう!」「マイボール!」などと言うならわかる。だが交代要員が詰め寄るというのは論外だと、私は思うのである。そして、こうした傾向は、読者は意外に思うかもしれないが、昨年のワールドカップにおける不適切な試合運営の結果生まれたのではないかと考えている。