■駅前広場で目にした戦勝記念
スタジアムがあるドン川の南は三角州になっていて平坦な土地ですが、旧市街がある北側は河岸段丘で高低差が多い複雑な地形でした。駅前でバスを降りて大きなロータリーを渡って宿舎まで歩いて行って、翌日も同じ通りを通って中央駅前から空港行きのバスに乗り、13時48分発の368便に乗ったので、滞在時間はちょうど25時間でした。
朝、駅前で朝食を摂ったり、新潟から来たという日本人サポーターと話をしたり、ロシア・メディアのインタビューを受けたりしたのが、ロストフでの唯一の思い出ということになります。
なぜか鮮明に覚えているのが、駅前広場に旧式の戦車が1両展示されていたことです。台座に「1943」と書いてありましたから、ロシアでは「大祖国戦争」と呼ばれている第2次世界大戦の戦勝記念のものでしょう。
第2次大戦では、ロシア南部の石油などの資源確保を目指すナチス・ドイツ軍が、当時はソ連の一部だったウクライナを通過して、ロストフにも襲い掛かってきて、ロストフの市街地は廃墟と化したと言われています。
ですから、「プリゴジンの乱」の映像で市街地を戦車が走っている映像を見た時に、僕は既視感のようなものを感じたというわけなのです。