2022シーズン終了後に現役を引退し、その後のワールドカップ・カタール大会やプレミアリーグなど、解説者としても活躍中の鄭大世(ちょん・てせ)さん。
彼の解説と言えば、ブライトン所属の日本代表MF三笘薫選手のキレキレのプレーに対し、「ミトマってる」というパワーワードも話題となった。
そんな彼は、解説者として日本代表や海外で活躍する三笘選手をどう見ていたのか。
90分に及ぶ独占インタビューの様子を全3回にわたってお届けする!
■今季の三笘薫の評価は?
――今シーズンの三笘選手の評価は?
100点満点です。もちろん、2021年のベルギーリーグのロイヤル・ユニオンSG時代もすごかったんですが、まだ途中出場が多く、いわゆるサブのスーパープレーヤーといった印象でした。それがプレミアリーグのブライトンにレンタルから戻った後、チームの主力選手としてここまでの活躍を果たすなんて、正直驚いています。
――プレミアリーグ挑戦1年目は最高の形で終われたと?
はい。ただ、三笘選手を見ていると、活躍する選手はどこの国だろうと、何年目だろうと関係ないんだなって思いましたね。やっていること自体は、Jリーグの川崎フロンターレ時代とまったく変わっていないんですよ。
――変わっていない、というのは、具体的にどういった点でしょうか?
昔も今も、三笘選手はドリブルが武器で、相手が縦を切っていても、そこをあえて縦に仕掛けて打開できる個の力があります。そんな典型的なドリブラーですが、一方で、ドリブルに固執せず、どんな状況でもベストな判断ができる冷静さを持っている。それが一番の長所なんじゃないかな。
その上で、彼は自分の長所を活かすために周りの選手を活かすんですよ。アウトサイドから、中にセンタリングをあげるといった場面なんかはその典型ですよね。すると、結果的に三笘選手の長所であるドリブルがさらに活きるんです。それを川崎時代からずっとやっています。
――一方で、さらに進化したと感じるところはありますか?
まず、ヘディングでいかついゴールを決められるようになった。そして、内側との連携が上手くなりましたよね。ブライトンのサイドバック、エストゥピニャン選手は特徴的なポジションを取るので、川崎時代とボールが入ってくる形が少し違うんです。
大外のポジションから、相手に読まれている状態でパスが通ってきた時に今の三笘選手は間を使って突破する。もしくは、自分が相手センターバックの位置まで入って、サイドバックを大外にあげて、そこから崩す。そういった選択肢が取れるように成長をしていたので、プレーの幅がさらに広がった印象がありますね。