■W杯では3バックがベースに

 ところが、その森保監督の選択でとても論理的ではないように思える部分がある。それはワールドカップでの戦いを振り返ると浮かび上がる。

 カタールワールドカップ前、森保監督は「戦い方は4-2-3-1または4-1-4-1をベースにする」と語っていた。実際、大会前の多くの試合で4バックをベースとした戦術を採っていた。特に4-1-4-1は2021年10月12日、ワールドカップアジア最終予選で2敗して後がなくなったホーム・オーストラリア戦で採用して勝利し、その後は選手を入れ替えつつ熟成させてきた。

 しかしワールドカップ初戦のドイツ戦の前半、4バックが機能しないと分かると森保監督は3バックに切り替え、それが功を奏して盛り返し勝利を収めた。その後も3バックをベースにワールドカップを戦い抜いたのだ。

 本来なら、新生森保ジャパンは世界を相手に勝利を収めることができた3バックをベースにして、そこに4バックのオプションを加えていいはず。ところが3月以降、森保監督は4バックだけを試している。そしてそのことで問題点がよりくっきりと浮かび上がっている。

(取材・文/森雅史)

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