■鬼木監督の大関友翔評
大関に話を聞いた直後、鬼木達監督は「このタイミングで彼を選んだというのは、やり続けている(ことを評価してのこと)。トレーニングもそうだし、練習の終わったあとの午後の筋トレも選手はずっとこなしているんですけれど、(大関はその中でも)自分の体と向き合い続けられている選手の一人。線が細いし、食も細いんですけど、食事の面なんかもずっと、時間をかけてクリアしていっている。そういうものだけで判断しているわけじゃないですけど、そういうことをやっている選手にチャンスをあげたいという気(持ち)にはなります」と話した。
そして、天皇杯という何が起こるか分からない一発勝負の大会で「勝たなければいけないので、そのラインにいるのかどうか、パフォーマンスがしっかり出せるのかどうかというところも見てて、今の彼なら、自分の中でいう最低限のところはやってくれるだろうというのはあったんです。そうじゃなかったら、言い方はきついですけど、努力していてもメンバーには入れられないです」と説明した。ただ、「メンバーには入ったけど、試合には出られなかったので」と付け加えることも忘れなかった。
そんな鬼木監督に、大関が「点差が開かなくても出れる選手になりたい」という気持ちを固めていたことについて尋ねると、「まさしくそこなので、良いんじゃないですかね」と笑顔を見せ、「僕が決断するときってそういうことなので。勝ってても負けてても、どういう状況でも使われる選手にならなければいけない。そういうことでいうと、もう一声っていうところ」とさらなる成長を促してもいた。
いつか――、いや、きっと近い将来、2万人の声援を受けた大関がどのようなプレーを見せてその歓声をさらに大きくするのか、そして、自身が活躍したうえで“バラバラ”を歌うことができるのか。そして、そのときどんな言葉を発してくれるのか、楽しみしかない。
(取材・文/中地拓也)