■女子サッカー新時代到来の象徴
1999年の女子ワールドカップ、地元アメリカと中国の決勝戦は、延長まで戦って0-0からPK戦となった。そして4-4で迎えたアメリカの最終キッカーは左サイドバックのブランディ・シャステイン。彼女は得意の左足で右隅に力強くキックを決めると、チームメートに振り向きながら白いシャツを脱ぎ、黒いスポーツブラ姿になってひざまずき、両こぶしを握り締めると、歓喜の輪に包まれた。このシーンは、女子サッカーの新時代を告げる象徴的なものとなる。
会場は1994年ワールドカップの決勝戦が行われたロサンゼルス(パサデナ市)のローズボウル・スタジアム。観客は女子サッカー史上空前の9万185人。体がカッと熱くなり、無意識のうちにシャツを脱いでしまうのは、男も女もないようだ。
久保が受けたイエローカードに対し、本田圭佑氏は自身のSNSで「1ゴールに人生かけてるんや。服ぐらい自由に脱がしたってくれ」と発信、大きな話題になった。欧州では、「『警告されなければならない』という文言を『警告される可能性がある』にすべきだ」という意見もあるという。現行のルールは、あまり評判がよくない。
だが、同じ行為が警告されたりされなかったり、それでレフェリーがプレッシャーを受ける事態はあまり好ましいとは言えない。「シャツ脱ぎイエローカード問題」は、まだまだ続きそうだ。