■準備したものを発揮して町田が首位奪還
町田は33分にもゴールを奪う。大分のゴールキックにプレスをかけ、CB上夷克典に高橋が詰め寄り、連動した荒木がペナルティエリア内でパスカットに成功する。そのまま右足でシュートへ持ち込むと、ゴール左から同サイドを破った。オーストラリア代表FWミッチェル・デュークがケガで離脱しているなかで、サガン鳥栖から期限付き移籍中の荒木が2ゴールの結果を残した。プロ2年目の23歳は、これでチームトップの5ゴールだ。
39分には3点目を奪う。相手ゴールキックをCBが跳ね返すと、セカンドボールを稲葉が蹴り出し、平河が荒木へつなぐ。ショートカウンターの発動だ。荒木がドリブルで持ち運び、右サイドのエリキへラストパスを通す。背番号11を着けるブラジル人FWは、右足の一撃をゴールネットに突き刺した。
前半のうちに3点をリードした町田は、後半もマイボールをシンプルに前へ運び、相手ゴールへ迫っていく。後半開始からシステムを代えてきた大分の攻撃にも、冷静に対応していった。
76分に失点すると、直後に黒田監督はシステムを変更する。4-4-2から5-4-1とし、3対1のまま逃げ切りをはかる。町田の「勝利の方程式」だ。
システム変更で重心がやや後ろへ移ったことにより、前半のようなハイプレスはしかけられなくなったが、ここまでJ2最少失点のディフェンスは粘り強さがある。5-4-1のバランスを崩すことなく、6分のアディショナルタイムをしのいで終了のホイッスルを聞いた。
この日の町田は、サイドハーフのポジションを入れ替えていた。右サイドの高橋を左に、左サイドの平河を右に配した。縦へのスピードが持ち味の平河を右に置くことで、大分の左サイドMF藤本一輝のドリブル突破を封じ込めることができていた。さらに言えば、左サイドで起用された高橋が、前線からのハイプレスで2点目のきっかけを作った。立ち位置の変更が、勝利につながったのだ。デザインされたリスタートも含めて、準備してきたものが大分撃破につながり、町田は首位に返り咲いたのだった。