後藤健生の「蹴球放浪記」第156回「セリエB観戦ついでに“聖地巡礼”」の巻(1)アントニオ・コンテも歴代監督に名を連ねるクラブの画像
イタリア対ドイツ戦のADカード 提供/後藤健生

 もしかしたら、トップよりも味わい深いかもしれない。それが、2部や3部といったサッカーの下部リーグである。蹴球放浪家・後藤健生も、もちろんその味を堪能している。カルチョの国が、その味わい深さを教えてくれた。

■イタリアが舞台の名作

『ライフ・イズ・ビューティフル』という映画をご存じでしょうか? 原題を「La vita e bella」という1997年のイタリア映画で、監督・脚本・主演はイタリアのコメディアン、ロベルト・ベニーニです。

 あらすじは、第2次世界大戦末期、ドイツ占領下のイタリアでユダヤ系イタリア人のグイド(ベニーニ)と妻のドーラ、息子のジョズエの3人がナチス・ドイツの強制収容所に送られてしまいます。そして、グイドは息子に不安を与えないように「これはゲームなんだ。ゲームに勝ったら戦車に乗って家に帰れるんだ」と言い聞かせます。

 なんとか生き延びた2人でしたが、連合軍による解放直前にグイドは射殺されてしまいます。しかし、「これはゲームなんだ」と信じて隠れていたジョズエの前に、本当に連合軍の戦車が現われ、戦車に乗せられたジョズエが母との再会を果たすという、ユダヤ人迫害をコミカルに描いた涙と笑いを誘う作品です。

 この映画の舞台となったのが、イタリア中部トスカーナ州のアレッツォという人口10万人ほどの街でした(ベニーニも、アレッツォ近郊で生まれたそうです)。古代ローマより古いエトルリア時代からの長い歴史を持つ古い美しい街です。

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